はじめに|どこかにビューンで当たった“2度目の青森”
東京の朝はすでに初夏の気配が漂っていた。 今回の旅は「どこかにビューン」で当たった青森。二度目の当選で、ひとり4,000ポイントという破格の往復だった。旅慣れた私たちでも思わず笑みがこぼれる条件だ。
どこかにビューーン!の仕組みと特徴
「どこかにビューーン!」は、JR東日本のJRE POINTを使って新幹線の旅ができる“行き先ガチャ”サービスです。
行先の候補は以下47駅。普段聞きなれない駅もたくさんあります。東京・上野・大宮などの主要駅から、ランダムで選ばれた4つの新幹線停車駅のうち1つが当選し、往復6000ポイント(1ポイント=1円相当)で旅ができます。
通常価格と比べて最大3万円以上もお得になることもあり、旅好きにはたまらない仕組みです。

「どこに行けるか分からないワクワク感」と「お得さ」が両立しているのが最大の魅力。どこが当たってもそれなりに見どころも多く、行先を決めてくれるのも、旅慣れたシニアにとってはありがたいところもあります。
気に入る組み合わせが出るまで何回でもチャレンジできます。また、途中下車・乗車も可能なので、当たった行先にこだわらず、途中の観光地を目指すのもありです。
「どこかにビューーン!」は、出発日の21日前から6日前まで申し込み可能。行き先は申し込みから1~3日で決定します。 人気の宿はすぐに埋まることもあるので、候補地が決まったら早めに宿の仮予約をしておくのがおすすめです。(必ずマナーを守りましょう。)
JRE銀行の優待チケットを使えば、さらにお得
どこかにビューーンを楽しむには、JRE銀行の口座開設、ビューカードの申込は必須。JRE銀行の優待チケットを使えば、通常6,000ポイントを4,000ポイントで利用可能です。
JRE銀行の口座を開設し、50万円以上の口座残高があれば、年間4回判定があり、ビューカードご利用代金の引落で1枚、給与等の受取で2枚、左記両方の実施3枚。年4回の判定なので、最大12枚を獲得できます。給与等の受取は難しい場合もありますが、その他はそれほどハードルは高くないので、申し込みをお勧めします。
JRE銀行の紹介プログラムを利用すると、さらにJREポイントがもらえます。
必要な方は紹介コードを発行しますので、当サイトのコメントに「JRE銀行 紹介コード希望」と書いて送信ください。

東京から新青森|送迎バスで八甲田へ
指定された便は朝の「はやぶさ1号」。 東京駅のホームに立つと、東北へ向かう空気がどこか違って感じられる。車内は早い時間帯にもかかわらず、東北へ向かう人々で賑わっていた。
列車が北へ進むにつれ、車窓の景色は緑を増し、盛岡付近では山の頂に残雪が見えた。青森が近づくにつれ、山の輪郭がくっきりと浮かび上がり、新緑の濃淡が旅の期待を静かに高めていく。
9時49分、新青森駅に到着。 駅前の空気はひんやりとして、東京とは違う季節の入口に立ったようだった。10時15分発の送迎バスまでは少し時間がある。新青森駅ビルにある青森の名物が並んだ「あおもり旬味館」で今晩の地酒を買い込む。今回は、一番人気の弘前市にある三浦酒造の「豊盃 純米吟醸 豊盃米」を購入。観光客向けのお店だが、山中の酸ヶ湯などで買うより少しは安い価格設定。ここから、八甲田の旅が本格的に始まる。
新青森駅から八甲田ホテルと酸ヶ湯温泉を結ぶ送迎バスに乗り込む。大きな観光バスに乗客は私たちだけ。窓の外には新緑が広がり、山の稜線が近づいたり遠ざかったりしながら、バスは静かに高度を上げていく。




途中、酸ヶ湯温泉に立ち寄ると、硫黄の香りがふっと漂い、山の温泉地に来たことを実感した。ここで途中で乗車した従業員さん数名が降り、バスは八甲田ホテルへ向かう。
乗車時間はおよそ1時間。東京からの移動を含めても負担の少ない行程だった。
八甲田ホテル到着|静かなロビーとアーリーチェックイン


ホテルに着いたのはまだ午前中。 本来は15時(一休ダイヤモンド特典のアーリーチェックインで14時)からのチェックインだが、この日は、到着後すぐに部屋へ案内してもらえた。
日本最大級の木造ログ建築物である本館は森の中に静かに佇み、ロビーに入った瞬間、木の香りと柔らかな光に包まれる。天井の高さ、落ち着いた色調、窓から差し込む自然光。旅の緊張がすっとほどけていく。青森出身の棟方志功の版画が至る所に飾ってあった。


11時半発の酸ヶ湯温泉への送迎バスの乗客は我々だけだったのでチェックインを終え、部屋に荷物を置くまで待っていただいた。玄関から酸ヶ湯温泉行きの送迎バスに乗り、酸ヶ湯温泉へ向かった。
酸ヶ湯温泉|名物「ヒバ千人風呂」と鬼面庵の昼食
八甲田ホテルから酸ヶ湯温泉まではバスで数分。 この季節なら歩いても大丈夫な距離だ。八甲田ホテルの入口を出ると地獄沼。山の斜面に沿って進むと硫黄の香りが濃くなり、温泉地特有の空気が肌に触れる。


送迎バスが酸ヶ湯温泉につくとドライバーの方がタオルを渡していただける。通常なら1回1,000円の入湯料が必要だが、同じグループの施設なので、宿泊者は何回でも無料なのが嬉しい。
歴史ある建物の中に名物「ヒバ千人風呂」がある。 ヒバ千人風呂は混浴だが、女性専用時間帯や湯あみ着の利用で女性も楽しめる。また、男女別の「玉の湯」という小浴場もあり、同じ泉質のお湯が楽しめる。多くの観光客で賑わってはいたが、湯船に入るとひなびた温泉感と硫黄臭、酸性の湯で本格的な湯治に来たようだ。




湯上がりには併設の「鬼面庵」で昼食。 つなぎを使わない酸ヶ湯そばは、いわし焼干しのだしが体に染み込む素朴な味わい。ホタテ串をつまみ、しめじの炊き込みご飯を夜の晩酌用にテイクアウトした。






八甲田ecoツアー|ガイドと巡る新緑の山
13時に酸ヶ湯温泉でガイドと合流し、私たち夫婦だけのecoツアーへ。 ロープウェー運休中のため、車で八甲田の自然を巡るルートが組まれていた。ひとり5,000円(保険料が別途500円)は安くはないが、専門のガイドさんの案内で八甲田の自然が十分に楽しめるツアーだった。このツアーは参加者の要望をある程度聞いていく場所をきめているようだ。
歩兵第五連隊第二大隊遭難記念碑 (八甲田山雪中行軍遭難後藤伍長銅像)
雪中行軍遭難事件の地。駐車場からは、整備された遊歩道を歩くと、木々の間から像が静かに姿を現す。澄んだ空気と新緑の八甲田の山々が気持ち良い。




グダリ沼
駐車場からは整備されていない高原を5分ほど歩けば、雪解け水が集まる清流が透明で、木々の影が水面に揺れる景色に出会えた。


睡蓮沼
残雪の中、八甲田の山々を一望できるスポット。まだ、雪が残っており、駐車場からは雪の上を注意して歩いた。睡蓮はまだ姿を見せないが、雪と水と山がつくる静かな景色が季節の境目を感じさせた。


ツアーは予定を少し超えて終了。 新緑と残雪が混ざり合う八甲田の山を巡る、濃い時間だった。
ホテルに戻って|バーラウンジ「PLATTO」でピチ・ヴィエ
ホテルへ戻ると、夕食前にバーラウンジ「PLATTO」へ。 重厚な木の柱と落ち着いた照明が、八甲田ホテルの歴史をそのまま閉じ込めたような空間だった。




名物「ピチ・ヴィエ」を夫婦でシェア。 薄いパイ生地の中にアーモンドクリームと紅玉を包んだ素朴な味わいで、フォークを入れると香りがふわりと広がる。


飲み物は、八甲田の伏流水で淹れたコーヒー「橅の滴」。 夕食・朝食でもこのコーヒーは提供されるが非常に深みがありながら後味はすっきり。窓の外のブナ林が静かに揺れ、旅の途中に置かれた小さな休息のような時間だった。
夕食前なので、1セットをシェアすることを快諾いただき、ケーキは半分にカット、コーヒーはポットで2杯分以上を提供いただくなど、老舗ホテルではあるが心のこもったサービスが印象的だった。


橅の滴は、お部屋にもドリップパックがあり、自分で淹れて楽しむことも出来る。
客室|木の温もりに包まれる静かな山の部屋
案内された客室は、八甲田の森に寄り添うように造られた落ち着いた空間だった。30平米のツインルーム。広すぎず狭すぎず夫婦二人にはちょうど良いサイズだ。


扉を開けた瞬間、ふわりと木の香りが広がる。大きな窓の向こうにはブナ林が広がり、風が吹くたびに葉が揺れて光がちらちらと差し込む。
部屋には「橅の滴」のドリップパックが置かれており、八甲田の伏流水で淹れたての香りを楽しみながらひと息つく。一休ダイヤモンド特典のアーモンドセンもコーヒーのつまみに嬉しい。




窓の外のブナ林を眺めていると、都会の時間とはまったく違う、ゆっくりとしたリズムが体に染み込んでいくようだった。


八甲田ホテルの温泉|酸ヶ湯とは異なるマイルドな泉質
館内の温泉は、酸ヶ湯とはまったく異なる泉質。 酸性・含鉄・アルミニウム・塩化物泉で、肌あたりがやわらかく、包み込むような温かさがある。
露天風呂はないが、大きな窓から見えるブナ林の緑が湯船に映り、静かな時間が流れる。同じ山の中でこれほど泉質が違うことに驚かされた。
タオルは温泉に備え付けてあるので、手ぶらで温泉に行ける。お部屋と温泉は浴衣で楽しむことができるが、ロビー・レストラン・バーは浴衣では利用できない。このあたりは温泉旅館との違う老舗ホテルの格式を感じた。
夕食|レストラン「メドー」でフレンチフルコース
夕食はレストラン「メドー」で。 天井の高い木造空間は、夕暮れの光が柔らかく広がり、昼とは違う落ち着きをまとっていた。夕食は17時半から。この時間帯が昼間の景色と夕暮れ、そして闇へと変化していく窓からの風景を楽しめる最高のディナータイム。


一休ダイヤモンド特典のワンドリンクをいただき、コースが始まる。
- お任せ白・赤グラスワイン
柑橘類の香りの調和がとれた白ワイン
熱した果実、滑らかな口当たりの赤ワイン - 生ビール アサヒ“ペローニナストロアズーロ” さっぱりした爽やかな飲み心地が特徴です →これを注文
- ソフトドリンク
青森県産果実 100%完熟林檎ジュース
青森県産、カシスジュースノンアルコール ワイン フランスより直輸入された、ワイン感覚の葡萄ジュースです
陸奥湾産ホタテのクリュ


フォアグラのトーション


ハマグリのフラン


深浦沖天然真鯛のポワレ


青森県産牛フィレ肉のポワレ


ショコラテリーヌとイチゴのソルベ


どの皿も土地の恵みを感じる味わいで、静かな山の夜に寄り添うようなコースだった。
食後の「ブナの雫」コーヒーで締めくくり、外へ出ると八甲田の夜は深く静かだった。
夕食後の酸ヶ湯温泉|女性専用時間帯へ
20時からは千人風呂の女性専用時間帯。 夜の山道は暗く危ないため、ホテルの送迎バスで向かう。
夜の酸ヶ湯は昼とはまったく違う表情。 湯気が濃く、木の浴槽が湯を吸い込むような音だけが響く。 この時間帯は立ち寄りの客はいなく、酸ヶ湯温泉旅館と八甲田ホテルの宿泊客だけの時間。
湯に浸かりながら、今日巡った八甲田の景色が静かに思い返された。
翌朝の散策|地獄沼・賽の河原・まんじゅうふかし
翌朝は早く目が覚め、ホテルにあった酸ヶ湯のイラストマップを片手に八甲田ホテル周辺を散策。


● 地獄沼
爆裂火口跡に温泉水がたまった沼。淡い緑色の水面から湯気が立ち上り、荒涼とした景色が広がる。
● まんじゅうふかし
まんじゅうは津軽弁で女性の下半身のことをいうらしい。95度の湯が通るベンチで下半身を温める独特の温泉法。子宝に恵まれる効果があるのだそうだ。朝の冷たい空気の中、湯気が静かに揺れていた。


● 賽の河原
酸性の川がつくる裸地にお地蔵様が佇む。残雪が多く近づけなかったが、火山地帯特有の厳しい景観が伝わってきた。


散策を終える頃には体が温まり、ホテルの温泉でひと風呂浴びて、朝食へ向かった。
朝食|和食と洋食をひとつずつ
朝食は和食と洋食をひとつずつ。予約では和食を選択していたが、両方を楽しみたいという願いを聞いていただいた。
● 洋朝食
完熟りんごジュース、ジャージーヨーグルト、野菜スープ、卵料理、厚切りトーストとクロワッサン(自家製りんごジャム)、サラダ、フルーツ、そして「ブナの雫」。


● 和朝食
焼き魚、帆立貝焼き味噌、鳥賊メンチ、しそ巻き・大間漬け、青森県産米「はれわたり」、汁物。 どれも青森らしさが詰まった内容だった。




チェックアウトと送迎バス|新青森駅へ(8:45)
チェックアウトを済ませ、8時45分発の送迎バスで新青森駅へ。 山の斜面を下るにつれ、残雪と新緑が交互に現れ、八甲田らしい季節の境目が続いていく。
1時間ほどで駅に到着。 はやぶさ1号が到着して混雑する前にレンタカーを借りることができた。ここからはレンタカーで津軽半島を巡る2日目の旅が始まる。
2日目|レンタカーで津軽半島1周
新青森駅でレンタカーを借り、津軽半島へ。
袰月海岸 — 荒々しい津軽海峡の海
津軽半島の北端近くに広がる袰月海岸は、津軽海峡の荒々しさを間近に感じられるダイナミックな海岸線。白波が岩肌に砕け散る音が響き、どこか孤高で力強い雰囲気が漂います。晴れた日には北海道の影がうっすらと見えることもあり、北の海らしい厳しさと美しさを同時に味わえる場所です。灯台や海岸線の岩場にかかる赤い橋(この日は強風のため近寄れず)がフォトスポットして映えます。


秀鮨 — 三厩名物 まぐろ丼を賞味
外ヶ浜町・三厩エリアで人気の秀鮨は、地元で水揚げされた新鮮なマグロを惜しみなく使った「まぐろ丼」が名物。赤身の旨みがしっかり感じられます。まぐろ丼と海鮮丼、そして地元の名物のうにも別に少しだけ頂きました。提供が早く、観光の合間でもサッと立ち寄れるのが嬉しいポイント。






龍飛埼灯台 — 風が強く、歌の情景がそのまま
津軽海峡冬景色の舞台として知られる龍飛埼灯台は、岬に立つだけで歌詞の世界に入り込んだような臨場感。強風が吹き抜ける断崖の上に白い灯台が凛と佇み、眼下には荒波が広がります。天気が良い日は海峡の向こうに北海道を望むこともでき、まさに“北の果て”を感じる絶景スポットです。


十三湖 (大橋付近の駐車場に立ち寄り)— しじみで有名な汽水湖
淡水と海水が混ざり合う汽水湖・十三湖は、全国的に有名なしじみの産地。湖面は穏やかで、時間がゆっくり流れるような静けさが魅力です。周辺にはしじみ料理を味わえる店も多く、旅の途中でほっと一息つくのにぴったりの場所です。


高山稲荷神社 — 千本鳥居が圧巻
赤い鳥居が山の斜面に連なり、まるで異世界へ続く道のような光景が広がる高山稲荷神社。千本鳥居のトンネルをくぐり抜けると、風の音と鳥の声だけが響く神秘的な空間に包まれます。写真映えはもちろん、歩くだけで心が整うような不思議な魅力があります。


金木観光物産館「産直メロス」— 太宰治ゆかりの地でお土産を購入
太宰治の故郷・金木町にある道の駅。地元の特産品やしじみ加工品が揃うほか、太宰治関連の展示や資料もあり、文学好きにはたまらないスポットです。旅の休憩だけでなく、金木の文化に触れられる小さな拠点としても魅力的。
斜陽館(外観のみ) — 重厚な建物が静かに佇む


太宰治の生家として知られる斜陽館は、和洋折衷の豪壮な建築が特徴。外観だけでも存在感があり、重厚な木造建築が静かに佇む姿は、時代を超えて残る文化財そのもの。周囲の落ち着いた町並みと相まって、文学の香りが漂う場所です。
17時、新青森駅に戻り、1日で津軽半島を一周する濃いドライブが終わった。八甲田の静けさとはまた違う、津軽の力強い風景が心に残った。



