せっかく熊野に来たのなら「熊野古道」を歩きたいです。でも、熊野古道は1本の道ではなく、東西南北から熊野エリア(熊野三山と呼ばれる「熊野本宮大社」、「熊野速玉大社」、「熊野那智大社」と「那智山青岸渡寺」の三社一寺)をつなぐ5本の道(伊勢路、紀伊路、中辺路、大辺路、小辺路)を指します。全長600kmにもおよぶ広大な街道群です。
いったいどこを歩けば、短時間で手軽に古の雰囲気に浸れるのか・・・今回訪問した熊野市は「伊勢路」にあります。伊勢路は紀伊半島の東側を通るルートで、伊勢神宮と熊野三山を結ぶ参詣道です。
公益社団法人 和歌山県観光連盟 HPより
その中でも熊野古道の雰囲気に比較的気軽に触れられるのが、「松本峠」です。「世界遺産リゾート 熊野倶楽部」の熊野古道ツアーも松本峠です。「世界遺産リゾート 熊野倶楽部」の熊野古道ツアーは夏休みはやっていませんので、自力で歩いてみることにしました。
松本峠の登り口は熊野尾鷲道路の終点 熊野大泊インターからすぐ、大泊海岸交差点付近に登り口の大きな看板があります。登り口の少し北には無料の駐車場もあり、長時間の駐車はダメですが、少しの間停めさせていただきました。登り口には木の棒がありますので杖として借りていきます。
登り口から、松本峠、七里御浜を望める東屋まで往復で1時間~1時間半です。坂道はきついですが、距離はそれほどなく(登り口から松本峠まで500m)石畳もあり、思ったより歩きやすく、熊野古道の雰囲気を味わえます。
世界遺産巡り
熊野市は世界遺産の宝庫です。浜沿いの狭いエリアに多くの世界遺産があります。
世界遺産 熊野古道 松本峠
登り口からはいきなりきつい坂です。ここから約500m先の松本峠を目指します。石畳があり、思った以上に歩きやすいですが、苔がありますので、滑らないように注意は必要です。
途中まで横に清流が流れていて、沢蟹が目の前を横切って行きます。この日は穏やかな流れでしたが、急な流れですので、雨の日はやめておいたほうが良いと思います。
途中には、苔むした丸い岩があり、昔の旅人は一息をついたのでしょう。
松本峠にはおおきなお地蔵さんがあります。建ったその日に妖怪と間違えられて鉄砲傷をつけられてしまったそうです。左の腰のあたりに鉄砲傷があります。
松本峠のお地蔵さんの前で道が分かれていますので、熊野古道からは離れ、鬼が城跡の方向へ東屋を目指します。
世界遺産 七里御浜
10分ほどで東屋に到着。世界遺産「七里御浜」を一望できる絶景です。 七里御浜は、熊野市から南に22km続く日本で一番長い砂浜で、「世界遺産(浜街道)」の他、「日本の渚百選」「21世紀に残したい日本の自然百選」「日本の白砂青松百選」「日本の名松百選」に選ばれています。
反対側には登り口の近く、大泊海水浴場も見えます。
アクセス
世界遺産 鬼が城
時間があれば、松本峠を反対側に降りて、鬼が城を1周して戻るというプランも良いのですが、今回は松本峠の登山口に戻り、車で鬼が城に行きました。
鬼が城は、熊野灘の荒波に削られた大小の海蝕洞が約1.2km続く凝灰岩の大岸壁です。一番の見どころの千畳敷まで散策(レストハウスから片道約5分くらい)しました。
鬼ヶ城レストハウスには、きれいでお土産の種類も多く、お土産を買うにはお勧めです。レストハウスを出るとすぐに鬼ヶ城の遊歩道に出ることができます。
アクセス
世界遺産 獅子巌
鬼が城から花の窟へ移動する途中、車で2~3分のところに世界遺産 獅子巌があります。まさに熊野灘をにらむ獅子。少し車をとめて遠くから見学しました。
アクセス
世界遺産 花の窟
花の窟は、神々の母である伊弉冊尊(イザナミノミコト)が火神・軻遇突智尊(カグツチノミコト)を産み、灼かれて亡くなった後に葬られた御陵です。『日本書紀』の神代第一で「国産みの舞台」として登場する日本最古の神社です。
なにか普通の神社とはちがう、パワースポットです。入口の鳥居から厳かな雰囲気が醸し出されています。
社務所で御朱印をいただきました。
その奥が神社ですが、普通の神社ではなく大きな岩そのものがご神体です。
ここに伊弉冊尊(イザナミノミコト)が祭られています。
この訪問のすぐあと、2021年9月9日 この岩の一部が崩落しました。その後、立入禁止となり、遠くからお参りするだけになっているそうです。